はじめにおことわり。今回の記事は一般的なダブルウォールクリンチャーリムのリムテープの話ではありません。
ブロンプトンの整備調整をさせていただきました。持ち込まれたときすでにパンクしていました。パンクの原因はリムの内面形状とそれに対するリムテープの厚さ不足でした。
持ち込まれた時のリムテープの様子。
リムの凹部分の溝が深く、チューブが膨らんで伸ばされる際その溝部分でチューブが特に強く引っ張られ伸ばされることがチューブに過大な負担となりパンクしたものです。パンク箇所以外にもまもなくパンクしそうな部分が数か所ありました。
対策としてリム溝のニップルとニップルの間に2mm厚のゴム板を張り付け、さらに2mm厚で溝幅に合うリムテープを作って装着しました。
これほどまでの対策が必要なのか?
ブロンプトンを持ち込まれたお客様は数年間はパンクしていなかったようでした。ならばこのような対策をせずとも3年に1回くらいチューブ交換をすればこのような対策は必要ないと言えるかもしれません。確かにそうですが間違いなく数年パンクしないかと言えばそうとは言い切れません。このようなリム形状が原因のパンク修理を目にすることは自転車店としてはまれな事ではありません。最悪の例としては販売前の展示中の新車でこのリム形状とリムテープ不足が原因でのパンクをしたものがありました。仕事として自転車にかかわるものとしては見逃せない不良と考えたほうがいいと思っています。
今回の対策は特別のこだわりの対策かもしれません。対策が必要と思われる場合でもここまでしなくても十分な事のほうが多いと思います。軽快車に使用されるリムテープを二重にするだけで相当な効果があると思います。バルブの周辺は特に対策が必要です。バルブ周辺だけはゴム板による対策が有効かもしれません。
ゴム板の重さは?
今回は重量を測りませんでした。16インチホイールなので慣性モーメントは小さいと思いました。軽量の材料を使用して使用中に潰れてカサが減っては効果がなくなるので、重量増に気を使うよりもゴム板でしっかり隙間を埋めることが重要と思います。
リムの凹はタイヤの装着のために必要なものです。凹を埋めすぎてしまうとタイヤの着脱が非常に困難になります。今回の対策ではどうでしょうか。対策後にこのタイヤをはめたとき。
対策前よりは格段にはめにくくなりましたが普通のロード用700Cの平均的な組み合わせよりははめやすかったです。新品のこのタイヤでは普通のロード用700Cの平均的な組み合わせくらいのはめやすさだったです。
スーパーチャンピオンの昔話。
今回のようなリム形状はかつては高価なスポーツ用WOリムにのみ採用されていました。代表的なものはフランスのスーパーチャンピオンのリムでした。スーパーチャンピオン=スーチャンのリムには一般的なリムテープだけではなく、ひと工夫して溝を埋めることをするマニアがいたと思います。そのための特別なリムテープも国内にあったように思います。パリのボワシスで買い求めたスーチャン用のリムテープは国内では見たことのない縄跳びの縄のようなものだったことを覚えています。